ピロリ菌の検査と除菌で、胃の健康を長く守る
Helicobacter Pylori Infection
ピロリ菌は胃の粘膜に生息し、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどと深く関係する細菌です。感染していても自覚症状がないことが多いため、健康診断で異常を指摘された方や、ご家族に胃がんの既往がある方などは、感染の有無を調べることが大切です。当院では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)による胃粘膜の観察をはじめ、患者様の状態に応じたピロリ菌検査を行っています。陽性と判定された場合は除菌治療を行い、治療後の除菌判定や定期的な上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)まで継続して支えてまいります。
ピロリ菌とは
胃の粘膜に生息し、慢性的な炎症を起こす細菌
ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃の粘膜に生息する細菌です。ウレアーゼという酵素を使って周囲の酸を中和することで、胃酸の強い環境でも生息できます。
多くは幼少期に口から感染すると考えられており、除菌を行わない限り、長期間胃の中に住み続けることがあります。
感染が続くと胃粘膜に慢性的な炎症が起こり、次のような病気につながる可能性があります。
・慢性胃炎・萎縮性胃炎
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
・胃過形成性ポリープ
・胃MALTリンパ腫
・胃がん
ピロリ菌に感染していても、胃痛や胃もたれなどの症状が現れない方も少なくありません。症状の有無だけで判断せず、必要に応じて検査を受けることが大切です。
除菌治療
3種類の薬を7日間服用します
ピロリ菌の除菌治療では、一般的に2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を、1日2回、7日間服用します。
治療中は、決められた時間と回数を守り、すべての薬を服用することが大切です。飲み忘れがあると、除菌の成功率が下がったり、薬が効きにくい耐性菌が生じたりする可能性があります。
薬の服用によって、次のような副作用が現れることがあります。
・下痢や軟便
・味覚の変化
・吐き気
・腹痛
・発疹やかゆみ
副作用が現れた場合も、自己判断で服用を中止せず当院へご相談ください。呼吸が苦しい、顔や喉が腫れる、強い発疹が出るなどの症状がある場合は、服用を中止して速やかに医療機関を受診してください。
ピロリ菌感染検査
胃カメラを使う方法と使わない方法があります
ピロリ菌の検査には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の際に組織などを採取する方法と、胃カメラを使わずに行う方法があります。
胃カメラを使う検査
胃カメラで胃粘膜の状態を直接観察し、必要に応じて組織や胃液などを用いて感染の有無を調べます。
主な検査方法は次のとおりです。
・迅速ウレアーゼ試験
・鏡検法
・培養法
・核酸増幅法
胃カメラではピロリ菌の感染検査だけでなく、萎縮性胃炎や潰瘍、ポリープ、胃がんなどがないかも同時に確認できます。
胃カメラを使わない検査
・尿素呼気試験
検査用の薬を服用し、服用前後の呼気を調べます。身体への負担が少なく、除菌後の判定にも用いられます。
・抗体検査
血液や尿を用いて、ピロリ菌に対する抗体を調べます。
・便中抗原検査
便の中にピロリ菌の成分が含まれているかを調べます。現在の感染確認や除菌判定に用いられます。
服用中の薬によっては検査結果に影響が出ることがあります。薬を自己判断で中止せず、事前に医師へお伝えください。
健康保険の適用について
対象となる病気が確認された場合に保険診療となります
ピロリ菌の検査や除菌治療を保険診療で受けるためには、原則として上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)などによって、対象となる病気が確認されている必要があります。
主な対象は次のとおりです。
・ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
・胃MALTリンパ腫
・特発性血小板減少性紫斑病
・早期胃がんに対する内視鏡治療後
・胃過形成性ポリープ
対象となる病気が確認され、ピロリ菌検査で陽性と判定された場合は、除菌治療も保険診療で受けられます。
最初に行う治療を「一次除菌」といい、不成功だった場合は抗菌薬の一部を変更して「二次除菌」を行います。所定の条件を満たす場合、一次除菌と二次除菌、治療後の除菌判定まで健康保険が適用されます。
健康診断や人間ドックでピロリ菌陽性を指摘された場合でも、保険診療での検査や除菌治療を受けるために、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が必要となることがあります。受診時には、検査結果やこれまでの診療内容が分かる資料をご持参ください。
自費診療となるピロリ菌検査・除菌治療
保険適用の条件を満たさない場合は自費診療となります
症状がなく、保険適用となる病気の診断を受けていない方が、予防目的でピロリ菌検査を希望する場合は自費診療となります。
自費診療となる主な例は次のとおりです。
・症状や病気の診断がなく、感染の有無だけを調べたい場合
・健康診断で抗体陽性を指摘されたものの、保険適用の条件を満たしていない場合
・一次除菌・二次除菌で除菌できず、三次除菌以降を希望する場合
・保険診療で認められていない検査や薬剤を使用する場合
自費診療の対応内容や費用については、事前にご確認ください。
除菌治療の流れ
検査から除菌判定まで段階的に進めます
① 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)・ピロリ菌検査
胃粘膜の状態を確認し、ピロリ菌に感染しているかを調べます。
② 検査結果のご説明
陽性と判定された場合は、除菌治療の方法や服用時の注意点をご説明します。
③ 除菌薬を7日間服用
2種類の抗菌薬と胃酸の分泌を抑える薬を、決められた方法で服用します。
④ 一定期間を空けて除菌判定
治療終了後、一定期間を空けて尿素呼気試験などを行い、除菌できたかを確認します。
⑤ 不成功の場合は二次除菌
一次除菌で菌が残っていた場合は、使用する抗菌薬の一部を変更して二次除菌を行います。
⑥ 除菌成功後も定期的に上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
除菌に成功しても、それまでに生じた胃粘膜の萎縮などが完全に元へ戻るとは限らず、胃がんのリスクがなくなるわけではありません。胃粘膜の状態に応じて、定期的な上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが大切です。