症状のない早期大腸がんを見つけるために
Colorectal Cancer
大腸がんは、早い段階では自覚症状がほとんどないことがあり、症状だけで発見することが難しい病気です。早期に発見できれば、病変の状態によっては身体への負担が比較的少ない内視鏡治療を選択できる場合があります。当院では、大腸カメラを用いて大腸の粘膜を直接観察し、小さなポリープやわずかな色・形の変化の発見に努めています。検査への不安や身体的な負担にも配慮し、患者様の状態やご希望に応じて鎮静剤を使用した検査にも対応しています。便潜血検査で陽性を指摘された方、血便や便通の変化がある方、ご家族に大腸がんになった方がいる方は、早めにご相談ください。
大腸がんとは
大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍
大腸がんは、結腸や直腸の内側を覆う粘膜から発生するがんです。
腺腫と呼ばれる良性のポリープが徐々に大きくなり、がん化して発生するものと、正常な粘膜から直接がんが発生するものがあります。すべての大腸ポリープががんになるわけではありませんが、将来がん化する可能性があるポリープを適切に切除することは、大腸がんの発症リスク低減につながります。
大腸がんは、がんが粘膜や粘膜下層の浅い部分にとどまる「早期がん」と、腸の壁の深い部分まで広がった「進行がん」に分けられます。
早期大腸がんの中には、大きさや深さ、形などの条件によって、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)が可能なものがあります。進行している場合は、外科手術や薬物療法などが必要です。
大腸カメラでがんが疑われる病変を認めた場合は、組織の一部を採取するか、病変を切除して病理検査を行い、がん細胞の有無や広がりを確認します。
大腸がんの原因
年齢や生活習慣、家族歴などが関係します
大腸がんの発症には、加齢や生活習慣、遺伝的な体質など、さまざまな要因が関係しています。
主なリスク要因は次のとおりです。
・40歳以上
・大腸ポリープを指摘されたことがある
・過去に大腸がんの治療を受けた
・ご家族に大腸がんや大腸ポリープになった方がいる
・潰瘍性大腸炎やクローン病に長期間罹患している
・肥満
・運動不足
・喫煙
・過度な飲酒
・加工肉や赤肉に偏った食生活
・食物繊維が不足した食生活
一部には、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など、遺伝的な病気を背景として発症する大腸がんもあります。若い年齢で大腸がんになったご家族がいる場合や、血縁者に大腸がんが多い場合は、医師へお伝えください。
生活習慣を見直すことは発症リスクの低減につながりますが、リスク要因がない方にも大腸がんが生じる可能性があります。
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)をおすすめする方
次のような方は、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)をご検討ください。
・便潜血検査で陽性を指摘された方
・血便が出た方
・便秘や下痢など、便通の変化が続く方
・便が以前より細くなった方
・大腸ポリープの切除歴がある方
・ご家族に大腸がんになった方がいる方
・貧血や体重減少を指摘された方
・40歳以上で大腸の検査を受けたことがない方
大腸がんの症状
早期には症状がほとんどないことがあります
早期の大腸がんでは、自覚症状がほとんど現れないことがあります。そのため、症状がない段階から便潜血検査などの大腸がん検診を受けることが大切です。
がんが大きくなると、できた場所や進行の程度によって次のような症状が現れることがあります。
・便に血が混じる
・トイレットペーパーに血が付く
・下血
・便秘や下痢を繰り返す
・便が細くなる
・便が残っている感じがする
・腹痛
・お腹の張り
・貧血
・倦怠感
・食欲不振
・体重減少
右側の大腸にできたがんでは、目に見える血便がなくても少量の出血が続き、貧血をきっかけに見つかることがあります。
左側の大腸や直腸にできたがんでは、血便、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返すといった便通の変化が現れる場合があります。
血便は痔でも起こりますが、症状だけで原因を判断することはできません。「痔だろう」と自己判断せず、出血があった場合は消化器内科へご相談ください。
速やかな受診が必要な症状
次のような症状がある場合は、腸閉塞や大量出血などが起きている可能性があります。
・強い腹痛が続く
・お腹が強く張る
・嘔吐を繰り返す
・便やガスが出ない
・大量の血便が出る
・強いふらつきや息切れがある
・急激に体重が減少した
症状が強い場合は、通常の外来受診を待たず、救急受診が必要になることがあります。
当院の大腸がん検査
大腸カメラで大腸全体を丁寧に観察します
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)では、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸粘膜を直接観察します。
検査では、主に次の点を確認します。
1. 大腸ポリープの有無
2. がんが疑われる病変の有無
3. 病変の位置や大きさ
4. 表面の形や色の変化
5. 出血や炎症の有無
6. 内視鏡で切除できる病変かどうか
当院では、通常の観察に加えて画像強調観察機能などを活用し、粘膜の細かな変化を丁寧に確認します。
がんが疑われる部分がある場合は、組織を採取して病理検査を行うことがあります。また、切除可能なポリープについては、検査中にそのまま切除する場合があります。
検査への不安や痛みに配慮し、患者様の状態やご希望に応じて鎮静剤を使用します。また、検査中に腸を広げる際には、体内に吸収されやすい炭酸ガスを使用し、検査後のお腹の張りを抑えられるよう配慮しています。
鎮静剤の効き方や検査後の感じ方には個人差があります。検査後はリカバリースペースでお休みいただき、体調を確認してからご帰宅いただきます。
便潜血検査で陽性となった場合は、痔などによる出血と自己判断せず、精密検査として大腸カメラを受けることが大切です。
日帰り大腸ポリープ切除手術
検査中に発見したポリープをその場で切除できる場合があります
下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)中にポリープを発見した場合は、大きさや形、位置などを確認し、切除可能と判断したものについて、その場で日帰り切除を行うことがあります。
内視鏡による主な切除方法には、次のようなものがあります。
コールドポリペクトミー
小さなポリープにスネアと呼ばれる輪状の器具をかけ、高周波電流を使わずに切除する方法です。
ポリペクトミー
茎のあるポリープなどにスネアをかけ、必要に応じて高周波電流を用いて切除します。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
病変の下へ生理食塩水などを注入して浮き上がらせ、スネアをかけて切除する方法です。
すべてのポリープを検査当日に切除できるわけではありません。次のような場合は、後日改めて治療を行うか、対応可能な医療機関へご紹介します。
・ポリープが大きい
・形や位置によって切除が難しい
・がんが深く入り込んでいる可能性がある
・出血リスクが高い
・血液を固まりにくくする薬を服用している
・一度に切除するポリープの数が多い
・全身状態から当日の処置が適さない
切除したポリープは病理検査へ提出し、がん細胞の有無や切除状態を確認します。結果によっては、追加の内視鏡治療や外科手術が必要になる場合があります。
切除後の注意点
ポリープ切除後は、出血や穿孔などの偶発症が起こる可能性があります。医師の指示に従い、一定期間は次の行動を控えてください。
・飲酒
・激しい運動
・長時間の入浴やサウナ
・腹圧のかかる仕事
・遠方への旅行や出張
・刺激の強い食事
・帰宅後に大量の血便、強い腹痛、発熱、めまいなどが現れた場合は、速やかに当院または医療機関へご連絡ください。
ポリープを切除することで将来の大腸がん発症リスクの低減が期待できますが、別の場所に新しいポリープができる可能性があります。病理結果や切除したポリープの数・大きさに応じて、適切な時期に下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが大切です。