生魚を食べた後の激しい腹痛は、
早めにご相談ください
Anisakis
アニサキス症は、アニサキスの幼虫が寄生した魚介類を生または加熱が不十分な状態で食べることによって起こる食中毒です。食後数時間から十数時間ほどで、みぞおちの激しい痛みや吐き気、嘔吐などが現れることがあります。胃にアニサキスがいる場合は、胃カメラで幼虫を確認し、その場で摘出できることがあります。生魚や加熱が不十分な魚介類を食べた後に急な腹痛が現れた場合は、食べたものと時間をお伝えのうえ、早めにご相談ください。当日の上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や摘出処置が可能かどうかは、食事をした時間や診療状況、患者様の全身状態などによって異なります。ご来院前にお電話でお問い合わせください。
アニサキスについて
魚介類に寄生する幼虫によって起こる食中毒
アニサキスは寄生虫の一種で、その幼虫はサバ、アジ、イワシ、サンマ、カツオ、サケ、イカなど、さまざまな魚介類に寄生しています。
アニサキスの幼虫が生きたまま体内に入ると、胃や腸の壁に刺さり、強い炎症やアレルギー反応を起こすことがあります。寄生する場所によって、主に次のように分けられます。
① 胃アニサキス症
幼虫が胃の粘膜に入り込むタイプです。食後数時間から12時間程度で、みぞおちの激しい痛みや吐き気などが現れることがあります。アニサキス症の多くはこのタイプです。
② 腸アニサキス症
幼虫が小腸などの腸管に入り込むタイプです。食後十数時間から数日後に、下腹部の痛みや吐き気、腹部の張りなどが現れることがあります。
③ 消化管外アニサキス症
幼虫が消化管の壁を通り抜け、腹腔内などへ移動するまれなタイプです。
④ アニサキスアレルギー
じんましん、かゆみ、息苦しさなどのアレルギー症状が現れることがあります。重い場合はアナフィラキシーを起こす可能性があります。
アニサキス症の発症
食後に起こる突然の強い腹痛が特徴です
症状は、アニサキスが入り込んだ場所やアレルギー反応の程度によって異なります。
主な症状は次のとおりです。
・みぞおちの激しい痛み
・周期的に強くなる腹痛
・吐き気、嘔吐
・腹部の張り
・下腹部の強い痛み
・じんましんや皮膚のかゆみ
・唇やまぶたの腫れ
・息苦しさ
生魚を食べた後の腹痛が、すべてアニサキスによるものとは限りません。胃腸炎、胃潰瘍、胆石症、虫垂炎など、ほかの病気でも似た症状が現れるため、自己判断せずに受診することが大切です。
息苦しさ、全身のじんましん、意識が遠のくなどの症状がある場合は、アナフィラキシーの可能性があります。通常の外来受診を待たず、速やかに救急車を要請してください。
アニサキス症の検査
問診と胃カメラで原因を確認します
まず、生魚や加熱が不十分な魚介類を食べた時間、症状が現れた時間、痛みの部位などを詳しく伺います。
胃アニサキス症が疑われる場合は、胃カメラで胃の中を観察し、粘膜に入り込んでいるアニサキスの幼虫や、周囲の腫れ、発赤などを確認します。
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、次の点を確認します。
・アニサキスの幼虫がいるか
・幼虫が入り込んでいる場所
・胃粘膜の腫れや炎症の程度
・胃潰瘍など、ほかの病気がないか
胃の中に食べ物が多く残っていると、十分に観察できず、幼虫を発見しにくいことがあります。当日の検査をご希望の場合は、最後に食事をした時間を必ずお伝えください。
下腹部痛が中心の腸アニサキス症が疑われる場合は、胃カメラでは確認できないため、血液検査や腹部CT検査などが必要になることがあります。その場合は、対応可能な医療機関をご案内します。
アニサキス症の治療
胃カメラで幼虫を摘出します
胃アニサキス症では、胃カメラの先端から鉗子と呼ばれる器具を入れ、胃粘膜に入り込んでいる幼虫をつかんで摘出します。
幼虫が複数いる場合もあるため、胃の中を丁寧に観察しながら処置を行います。幼虫を摘出すると、多くの場合は症状の改善が期待できます。
当院では、患者様の状態に応じて、鎮静剤を使用した上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)にも対応しています。ただし、症状や全身状態によっては鎮静剤を使用できない場合があります。
腸アニサキス症では、胃カメラによる摘出はできません。多くは点滴や痛み止めなどで経過を見ますが、腸閉塞や腸の穿孔が疑われる場合には、入院や外科的治療が必要になることがあります。
アニサキスに直接有効な治療薬は確立されていないため、胃アニサキス症では内視鏡による摘出が基本となります。
アニサキス症を予防するために
加熱・冷凍と目視による確認が大切です
アニサキス症は、日頃の調理や保存方法を見直すことで予防につなげられます。
主な予防方法は次のとおりです。
・新鮮な魚を選ぶ
・丸ごとの魚は、購入後すぐに内臓を取り除く
・魚の内臓を生で食べない
・調理時に目視で幼虫がいないか確認する
・中心部まで十分に加熱する
・必要に応じて適切な温度と時間で冷凍する
加熱する場合は、中心部まで70℃以上、または60℃で1分以上が目安です。冷凍する場合は、マイナス20℃で24時間以上が目安とされています。
一般的な食酢、塩、しょうゆ、わさびではアニサキスは死滅しません。また、よく噛むことだけで確実に予防することもできないため、加熱や冷凍、目視確認を適切に行うことが重要です。